ヌルヘノクチ遺跡(対馬市峰町)の範囲確認調査を行いました (2023.10.26更新)
【2023年10月26日】
長崎県埋蔵文化財センターでは、令和5年度の「しまの遺跡の魅力」探求事業(対馬地域)として、9月25日から10月13日にかけ、対馬市峰町に所在するヌルヘノクチ遺跡の発掘調査を行いました。
ヌルヘノクチ遺跡は三根湾に注ぐ三根川の左岸に位置し、周辺には三根遺跡やガヤノキ遺跡、サカドウ遺跡など弥生時代の集落や墓地が見られます。今回は、魏志倭人伝に記録される「対馬国」の中心地と目される、三根川流域の集落の発見を目的として、「①昨年度調査によって遺物包含層の広がりが確認された場所の調査(4m×7m)」、「②昨年度試掘調査が実施できなかった範囲の試掘調査」を行いました。現在耕作していない畑と水田を調査したため、作業は草刈りから始まりました。 ①では、地表からスコップで、遺物を探しながら慎重に掘り進めた結果、遺物包含層が緩やかな斜面に沿って堆積している状況が確認されました。またこの遺物包含層からは、古墳時代前期の遺物がわりと大きなサイズで見つかり、また当時の人がネックレスやブレスレットに使用したガラス小玉が1点見つかりました。 ②では、残念ながら、削平により遺跡は残存していないことがわかりました。 今回の調査では、集落があったことの直接の証拠となる竪穴建物は見つかりませんでしたが、遺物の出土状況から、集落は今回の調査区に極めて近い可能性が考えられます。また昨年度の調査と同じく、三韓系土器(あるいは楽浪系土器)が検出されたことが注目されます。 10月7日(土)には、現地説明会を実施し、12名の方々にご参加いただきました。普段は気づかないような場所にも、貴重な埋蔵文化財が眠っていることを知ってもらえたのではないかと思います。 今後、整理作業を通して、この遺跡の解明と、対馬国の様相のさらなる解明を進める予定です。